イベントの成功を舞台裏で支える
セキュリティ本部 教育研修室
イセットが提供するメインの警備サービスは機械警備ですが、イベント時には雑踏警備といわれる警備もやっています。
これは、盗難等の事故の発生を警戒し、防止する機械警備等とは異なり、人や車両の雑踏する場所等において、負傷等の事故の発生を警戒し、防止するのが雑踏警備と言われる警備です。
毎年、夏になるといくつか花火大会の警備を請け負うことがあります。花火の規模にもよりますが、警備員が150人近く必要となる会場もあります。
ある花火大会のことです。人々がたくさん動き、一番危険な時間帯であるといわれる、花火終了の直前直後を事故等の大きなトラブルなく乗り越えました。観客も減り、会場が落ち着きかけ、「今回も無事に終了するな」と思っていた時に、5~6人の人だかりを確認、警備責任者である私はすぐさまその人だかりに駆けつけました。
そこでは、観客が警備員に大きな声で罵声を浴びせていました。
「そんな硬い事を言うな!通させろ!」
「ここから先は危険ですので立ち入り禁止となっております、迂回して下さい。」
「何が危険だ!すぐそこまでじゃないか!硬い事を言うな!」
そこに割って入った私に対し、その方は、警備員が生意気であり気分が悪い、本人に謝罪させろとの事。
私は、「ここは確かに立ち入り禁止であり、彼の言動は、間違ってはいません。ただ、言葉使い等で気分を害されたのであれば、その件について私が謝ります、お許し下さい。」と言い、ご協力いただけるように努めましたが、お酒も入っていることもあってか、ご納得いただけませんでした。そうこうしていると警察官がやって来て、ようやく事態が収集しました。
その方のお気持ちも良く分かります。しかし、そういった方々の苦情やお叱りを恐れ、ルール違反や違法行為を許し、黙認した結果、周囲の方に迷惑が及んだり、万一事故が発生すれば、警備の失敗というだけではなく、イベント自体が失敗し、中止になることすらあるのです。
花火を見物に来られた方々に、楽しんでもらい、気分良くお帰りいただくのはイベントの目的です。そのイベントを事故なく終了させることが我々警備員の最大の使命です。私たちは、ルールを守り、守っていただけるように努めることが大切です。ルール違反に対しては毅然とした態度で臨まなければならないこともあるのです。私は彼に言いました。
「よく聞き、よく説明し、頑張ってくれたね。ありがとう。」